阪急の立場に立って,阪急の利益(収益−費用)を最優先に,
伊丹の『空港として』の旅客をより多く阪急利用に導こうと目論む場合,どうするだろうか?

現在,伊丹空港と大阪都心部との間を移動する旅客が阪急電車を利用するなら,
大阪空港駅〜(大阪モノレール)〜蛍池駅〜(阪急宝塚線)〜阪急梅田駅
のルートとなる。
阪急電車を利用しない旅客は,多くがリムジンバスを利用する。

伊丹の『空港として』の旅客をより多く獲得し,阪急の鉄道収入を上げようとするために
新たな策を打つなら,下記のA〜Cの3案が考えられる。


A:大阪モノレールとの乗継割引運賃の導入などにより,宝塚線利用を増やす(新線整備なし)
  ○:メリット
    ・新線の整備費が不要で,費用が安い。
  ×:デメリット
    ・阪急を利用する旅客の大幅な増加は見込めない。

B:伊丹旅客ターミナルと宝塚線とを,できるだけ短距離の新線で結ぶ(蛍池駅から分岐)
  ○:メリット
    ・Aと比較して所要時間が短縮でき,運賃も安くなる可能性がある。
    ・Aよりもバスなどからの転換が期待でき,その増分は全て阪急の収益となる(モノレールには取られない)。
  ×:デメリット
    ・Cより安いが,新線整備費が高い。
    ・伊丹空港〜蛍池間は,阪急も若干出資しているモノレールと完全に競合し,途中駅もないので空港関連旅客以外の乗降客も見込めない。

C:伊丹旅客ターミナルと梅田とを,できるだけ直線的な新線で結ぶ(曽根駅付近から分岐)
  ○:メリット
    ・3案の中で最も所要時間が短い。
    ・3案の中でバスなどからの転換が最も期待でき,その増分は全て阪急の収益となる。
  ×:デメリット
    ・新線整備費が莫大で,3案の中で最も費用が高い。
    ・伊丹空港〜曽根間は,騒音区域で人口も少なく宝塚線の豊中駅と岡町駅の勢力圏と重なるので,途中駅を設けても宝塚線と合わせた空港関連旅客以外の一般乗降客の増加はほとんど期待できない。