陰陽師有宗入道、鎌倉より上りて、尋ねまうで来りしが、先づさし入りて、
『この庭のいたづらに広きこと、あさましく、あるべからぬ事なり。
道を知る者は、植うる事を努む。細道一つ残して、皆、畠(はたけ)に作り給へ』と諌め侍りき。

まことに、少しの地をもいたづらに置かんことは、益なき事なり。食ふ物・薬種など植ゑ置くべし。