>>98
>但し、どの地域でも、お国言葉や訛りはあっても日本語を喋っているという意識が無かったこと一度もない。
これは違うよ。
というより、そもそも「日本語」という単一の近代語(modern language)という概念を、
前近代の日本人は知らないから、
「日本語を話している意識」もへったくれもない。
直近の江戸時代にしても、
藩ごとに「お国の言葉」が違い、しばしば通じなかったということで、
各々が勝手に「お国ことば」で話して意思疎通可能なのは、畿内と江戸がギリギリ限界。

そして、ヨーロッパのラテン語に対応するのは、古典日本語(文語)になる。(古典中国語ではない)
これだけが、唯一日本全土で通じた書き言葉だ。
ヨーロッパとの違いは、ラテン語の規範とされたのが紀元前1世紀のローマ市の言語であるのに対し、
古典日本語の規範とされたのが、紀元後10世紀末の平安京の言語だったという違いだけ。

だが、この1000年の違いは大変大きく、
14世紀ごろ(文語規範成立から1500年経過)には、
イタリアでもラテン語を使うには相当な教養が必要で、ヨーロッパでは言文一致を考えざるを得なかったのに対し、
日本の場合、19世紀(文語規範成立から900年弱)では、
まだ文語での意思疎通が、特殊な教育を受けずともある程度は可能だったから、
言文一致は、「外からの輸入運動」として始まった。