岡田英弘著『日本とは何か (3 著作集)』:ヘロドトス、司馬遷に次ぐ第三の天才歴史学者
530〜531頁
 私はシンポジウムのような場で話をする際は、無意識にではあるが、ものごとを日本語ではなく、英語で考える。
すなわち英語で考え、それを日本語に置き換えて話しているのであり、したがって、私の発言はすべて英語で
構築されている。たとえば、他の話者の発言をメモする際にも、英語で記録している。そうすると、きわめて厳密な
論理操作ができる。
つまり、外国人に日本人は論理的発信能力が弱いと批判されたり、日本人自身から、考えがなかなかまとまらない、
自分でも何を考えているかわからない、といった弱音が出たりするのは、結局、日本語ができあがった過程に由来して
いるのである。
乱暴な話ではあるが、この問題を解決するには、ものごとを英語で考える習慣を身につける以外に方法はない。
話すときは日本語でもよいが、日本語でものごとは考えないことである。