金玉ロケット
              著:ウッさん

僕が道を歩いているとキラリと光る星が見えた。
いつか国産のロケットで宇宙を旅するんだ。
そう誓った少年時代のことを思い出しながらコンビニへと足を早めた。
これだ。
棚からライターを取り、反対の手でポケットに手を入れる。
チャリチャリと小銭の重さを確認しレジを済ませる。
それから河川敷へと向かった。
夕日が鮮やかだった。
よし
決意を固めズボンを脱ぐ。
剥き出しの金玉の周りには恥ずかしいほどに陰毛が生え散らかしている。
すっと目を閉じライターに火をつける
それから歯を食いしばり、着火!
ふわああ!!!!
燃え広がる炎。
僕の陰部は火の海になった。
俺はロケットだあー!
興奮さめやらぬまま焼けただれた金玉を冷やすために土手を駆け下り川にダイブした。
救急車のサイレンが聞こえる。
俺はやり遂げた。思い残すことはない。
入院したらまた司法試験の勉強をしよう。
人生をやり直すんだ。
川の中で大の字になって人生が新しくなっていくのを感じた。
さっきまで終わりゆくように感じていた夕日が出発点に思えた。
ちょっと。と声をかけられた。
人生で最初に話す人物。
顔を上げると警官がいた。
救急車は来てなかった。