北朝鮮が「水爆」と主張する6回目の核実験は、推定70キロトンの爆発規模を記録したが、不気味なのは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が視察したという大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆が「電磁パルス(EMP)攻撃を加えることもできる」と主張している点だ。

東京上空で爆発すると「電子機器が全て停止し、首都機能をマヒさせる威力がある」と専門家は指摘する。

朝鮮中央通信は3日、正恩氏が視察した「水爆」は、「巨大な殺傷・破壊力を発揮するだけでなく、戦略的目的に応じて高空で爆発させ、広大な地域への超強力EMP攻撃まで加えられる多機能化された熱核弾頭だ」と報じた。

EMPは、核弾頭を地上数十〜数百キロの高高度で爆発させる攻撃手段とされる。軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「核爆弾が高高度で爆発すると『電磁パルス』という現象が副次的に発生し、雷が大量に落ちたような状態になって電子機器が破壊される」と説明し、こう続ける。

「東京の上空で爆発した場合、爆発力が小さいものでも23区内では電子機器が使えなくなる。発電所は止まり、電車の運行もできなくなるなど都市機能に大きな影響を及ぼすだろう。戦闘機などは全て電子機器によって動いているといっても過言ではなく、相手の戦闘能力をそぐために使われることも想定される」

一度高高度で爆発してしまえば、EMPの発生を食い止めるのは不可能で、攻撃を防ぐには発射そのものを抑え込むしかないという。世良氏は「人に被害を与えずインフラを破壊するというのがEMPの意図するところだが、いくら高高度で爆発させたとしても、人体に影響がないとは考えづらい」とも話す。

今回の核実験について、軍事アナリストの黒井文太郎氏は「通常の水爆の威力は数百キロトン以上あり、70キロトンというのが事実ならば、原爆の改良型であるブースト型核爆弾を『水爆』と主張しているとも考えられる」とし、

「実戦で使うにはまだ開発が必要なはずで、核爆弾の小型化と併せ、今後は間違いなく日本の方向へ次々とミサイルを撃ってくることになる」と分析する。日本の危機はすぐそこにある。

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北朝鮮の「水爆実験成功」を伝える街頭テレビ=3日午後、東京・有楽町