>>1のつづき

■ 外交的波紋
強制徴用被害者の個人請求権が消滅していないという最終判決が出れば、日本企業は被害者に8000万〜1億ウォンの賠償をしなければならない。もしこれを拒否すれば裁判所の判決を根拠とし、これらの企業の国内資産を差し押えるなど強制措置が行われるだろう。日本政府は韓日請求権協定により、この問題は解決しているという立場のため、これを受け入れる事はできない。その上強制徴用被害者の数を勘案すれば、賠償額は数十兆ウォンに達する事となる。

日本政府は強制執行などの措置が取られた場合、断固として対応するという方針を何度も明らかにしている。この問題に対する国際司法裁判所(ICJ)提訴も辞さないという意志を見せている。

もちろん韓国政府が提訴に応じなければ裁判は成立しないが、韓日関係は後戻りできない段階に突入する事になる。今回の判決が、韓日関係の破局に繋がる雷管という表現が出ている理由である。

新日本製鐵や三菱などの該当企業は既に国内資産を全て撤収させ、差し押えに値する対象がない事が判明している。この場合、被害者は現実的に賠償を受ける方法はない。国内判決を持って日本に行って訴訟を起こす方法もあるが、日本の裁判所がこれを受け入れるはずがないため、被害者が得る実益はないケースもある。

■ 政府の公式立場と矛盾
政府はこれまで強制徴用被害者の個人請求権が韓日請求権協定で解決されているという立場を維持してきた。このような結論は2005年の廬武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代、韓日国交正常化交渉の外交文書を全面公開して、当時の李海ちゃん(イ・へチャン)国務総理を委員長にした官民合同委員会で請求権問題の交渉過程を検討して下したのである。文在寅大統領も当時、青瓦台(大統領府)民政首席として委員会に参加していた。

当時の政府はこれを通じ、「日本軍慰安婦被害者、サハリン同胞、原爆被害者など3種の問題は請求権協定に含まれていない」という公式立場を明らかにした。強制徴用問題はこれに含まれないため、これらの個人請求権は消滅したという立場に繋がったのである。

仮に大法院が個人請求権があるという判決を下せば、法院の判決が政府の公式立場と矛盾する状況が発生する事となり、一致しない状態を解消しなければならない負担が政府に科せられる。結局、法院の判決が政府の立場と変わらないという論理を作り出したり、立場を変えなければならない状況に直面するしかない。

・・・おしまいw