昔の弾道ミサイルはノーズコーンが円錐形で、それを軸方向に回転させるという
単純なスピン制御で姿勢を安定させていた。
近年になって人工衛星の姿勢制御はより進化した3軸制御が主流になった。
その技術を弾頭にも応用することにより、再突入時にノーズコーンをある程度
自由に傾けることができるようになり、、再突入時の抵抗を利用して落下地点
をある程度コントロールできるようになった。

これにより対地弾道弾の命中精度は飛躍的に高まった。
さらにノーズコーンを円錐形から非対称形にして再突入時の抵抗を大きくし、
軌道制御幅を増大させて積極的に行おうとしているのが滑空弾道弾である。

あらかじめ目標位置が固定されている対地ミサイルの場合は、弾頭内部の
慣性航法装置で弾頭自身の位置さえわかれば誘導できる。
だが艦船などの移動目標を狙う場合には、移動する敵目標の位置を
センサーなどで捉えていなければ、どこに誘導して良いかもわからない。

弾道弾の弾頭が大気圏に再突入する際には、周囲の大気が圧縮されて過熱し
プラズマ化して、すべての電波を通さなくなるブラックアウトと言う現象が起こる。
これは弾頭周囲の大気が起こす現象なので、防ぎようがない。
ブラックアウトの間は、レーダーや赤外線などの光学センサーはすべて使えなく
なり、さらに外部と通信もできなくなる。
そのブラックアウトの1〜2分間、弾頭は移動目標を完全に見失う訳だ。

作戦行動中の空母は、1分間に1000mほど移動している。
ブラックアウト中に変針されたら、当初の予想位置から1000m以上移動できる。
ブラックアウトが終わってから再びセンサーを動かし、敵空母を識別して
そこに滑空弾道弾を誘導するというのが対艦弾道弾のコンセプトだが、
中国の現在の技術ではまず不可能だと見られている。