ソウル市は金浦空港の国際線を拡充する「ルネサンス計画」推進している。現在金浦空港を離発着する国際線は日本、台湾、中国との路線だけで、就航都市は半径2000キロメートル以内の都市に限られている。市は今後、規制を緩和し、長距離路線も就航できるように政府に提言を行う方針だ。市の構想が現実となれば、国際線は仁川、国内線は金浦と二分されてきたこれまでの体制が崩れ、両空港が本格的な競争に突入することになる。

 市は最近「グローバル新成長拠点のゲートウェー金浦空港の育成管理プラン」と題する研究を委託したことが分かった。結果は6月ごろにまとまる。国際線の機能を強化し、周辺の麻谷地区、汝矣島の開発のリンクすることが柱だ。現在金浦空港の国際線は東京、大阪、北京、上海、台北の5路線のみだ。2001年に仁川空港が開港し、金浦空港が国内線専用に格下げされた後、03年にソウル−東京線が開設され、その後中国線、台湾線も就航した。仁川空港に比べターミナルが古くて狭いという短所はあるが、ソウルの都心や江南方面に近いことから利用客が急増した。国際線の運航便数は年間で仁川空港の4分の1の約2万便だが、空港の年間利用客数は仁川空港開港以前の67%まで回復した。ただ、2000キロメートル規制に縛られ、国際線の拡充には限界があった。市関係者は「金浦空港はソウルの都心に近く、ビジネス客などに特化した国際空港として育成可能だ。仁川空港の開港後も滑走路などのインフラは維持されており、規制さえ変更されれば、国際線の増便は難しくない」と指摘した。

 市は金浦空港の国際線拡充と麻谷地区の開発をリンクさせる構想だ。麻谷地区は金浦空港と3キロメートル程度離れている。金浦空港と麻谷地区には地下鉄3路線が通っている。市は麻谷地区の一部11万平方メートル余りを企業都市として整備している。企業のオフィス、研究所だけでなく、展示場、ホテルなども誘致する計画だ。金浦空港からの就航としが増えれば、麻谷地区を国際的な空港周辺都市として育成できると期待される。

交通専門家は市が東京・羽田空港を積極的にベンチマーキングしたとみている。東京の玄関口だった羽田空港は1978年に千葉県に成田空港が開港したことで国内線専用空港へと格下げされた。2000年にアジア路線が復活し、国際空港へと復帰。これまでにニューヨーク、ロンドン、シドニーなどに路線を拡大した。成田に比べ都心へのアクセスが良いことから利用客が集まった。

 金浦空港の復活は周辺住民の強い反発に直面する可能性がある。空港滑走路に隣接する陽川区、九老区の地域住民は航空機の離着陸による騒音問題の解決を求めてきた。特に陽川区新月洞の住民は騒音被害対策委員会を結成し、現在運航中の国際線の仁川移転を要求している。最近には金浦空港がある江西区から選出された慶満善(キョン・マンソン)ソウル市議(共に民主党)の主導で金浦空港活性化支援条例が制定された。金浦空港の国際線路線拡充に向け、ソウル市長が航空事業者などを支援しなければならないとする内容だ。しかし、条例制定を受け、金水英(キム・スヨン)陽川区庁長(共に民主党)は市議会に抗議に訪れた。慶市議は今月1日、国際線拡充の必要性を主張する記者会見を開こうとしたが、当日になって急きょ中止された。党内の対立がエスカレートすることを懸念した指導部が会見中止を求めたとされる。

 市関係者は「まず金浦空港の中距離国際線復活に集中していく計画だ」と説明した。

鄭智燮(チョン・ジソプ)記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/04/03 09:00