韓国政府は北朝鮮住民として認めず

中国も自国民ではないとの理由で入国拒否

 「韓国では中国人と言われ、中国では北朝鮮人だと言われた。いつまで無国籍者として生きなければならないのか」

 脱北した華僑4人が今年5月8日にソウル市内の出入国・外国人庁で難民申請を行った。彼らは北朝鮮で華僑として登録し生活してきたが、後に脱北し韓国にやって来た。韓国法務部(省に相当)によると、脱北華僑が難民申請を行うのは今回が初めてだという。

 脱北華僑は韓国では脱北民として認められない。韓国政府は彼らを北朝鮮住民ではなく中国人と見なしているからだ。中国も彼らを自国民として認めない。このように無国籍者扱いを受ける脱北華僑は韓国国内に20人以上いると推定されている。

 難民申請を行った4人の中には、2009年に脱北した48歳の男性も含まれている。彼は入国時の聴取で華僑であることが分かった。法務部は男性を追放するため中国大使館にパスポートの発給を申請した。これに対して中国は「わが国にはそのような人物はいない」として発給を拒否した。男性はその後10年近くにわたり全国の農村や工場、工事現場などを転々としながら違法就労を行ってきた。法務部は男性に臨時滞在を認めF1ビザを発給したからだ。F1ビザでは就労もできず医療保険などの恩恵も一切受けることはできない。難民申請を行った残り3人もこの男性と同じ立場に置かれている。

 韓国政府が彼らを難民として認めるかは未知数だ。しかし今回の難民申請により合法的に就業できる可能性は高まった。現行の難民法では「難民申請者には就業を許可できる」と定められている。男性ら4人はF1ビザだが、今後臨時の就業が可能なG1ビザへの変更を法務部に申請している。法務部は29日ごろ彼らにビザの変更が可能か伝える予定だ。

リュ・ジェミン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/07/23/2019072380034.html
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/07/23 10:03