【ニューヨーク=橋本潤也】北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返し、米国による軍事攻撃の可能性が指摘されていた2018年初旬、トランプ米大統領が側近らに対し、韓国国内から米国市民の退去を一時指示していたことが、米ジャーナリストの著書で明らかになった。周辺の説得でトランプ氏は断念したが、国防総省は当初、パニックに陥ったという。

 暴露本のタイトルは「TRUMP AND HIS GENERALS(トランプと彼の将軍たち)」で、10日に発売された。著者のピーター・バーゲン氏は1997年、国際テロ組織「アル・カーイダ」の指導者ウサマ・ビンラーディンに初めてテレビインタビューしたことで知られる。

 トランプ氏はFOXテレビの番組で、「米軍が先制攻撃を検討していると北朝鮮に理解させるためには、米軍人の家族を韓国に送るのをやめるべきだ」との識者の意見を聞き、側近らに「韓国から米国民を避難させたい」と提案したという。側近からは「戦争を始めるシグナルを送ることになる」「韓国の市場がクラッシュする」と懸念が出たが、トランプ氏は「Go do it!(いいからやれ!)」と指示したという。

 政権発足当初の17年4月の会議で、政府担当者が中国や韓国と比べて暗さが目立つ北朝鮮周辺の夜間の衛星写真を見せると、トランプ氏は「ここは海なのか?」と尋ねたという。「なぜソウルは北朝鮮国境にこんなに近いのか。彼らは避難する必要がある」とも語ったが、側近らは、トランプ氏が本気なのか冗談を言っているのか、その場では判断できなかったと描写している。

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12/27(金) 23:11配信 記事元 讀賣新聞