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 韓国政府による自国の造船業に対する支援をめぐり、世界貿易機関(WTO)を舞台にした日韓の協議が難航している。日本は韓国政府による過剰な補助金支給などはWTO協定に違反するとして是正を求めているが、韓国は強く反発している。日本は造船受注で一定のシェアを持つ欧州各国と足並みをそろえ、国際規律の整備に向け弾みをつけたい考えだが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、事態は長引く公算が大きい。(岡田美月)

■1・2兆円規模の金融支援

 WTOの紛争処理手続きでは、裁判の「1審」に当たる紛争処理小委員会(パネル)に先立ち、当事国による協議が義務付けられている。これに基づき、3月30日、日韓によるテレビ会議を通じた2国間協議が2018年12月以来1年3カ月ぶりに開かれた。第三者として欧州連合(EU)の担当者が参加した。

 国土交通省によると、韓国は15年に経営難に陥った韓国の造船大手「大宇造船海洋」(DSME)に対し、公的金融機関を通じ計1兆2000億円規模の金融支援を実施。官民ファンドを通じた補助制度もあるという。日本はこれらの支援措置がWTOの協定違反に当たると主張。公正な競争環境がゆがめられているとして支援措置の見直しを求めた。

■欧州から「市場歪曲」の声

 日本が韓国の造船支援の問題をWTOの協議に持ち込む背景には、経済協力開発機構(OECD)でのルール作りを推進する狙いもあるとみられる。上智大学の川瀬剛志教授(国際経済法)は、日本が韓国政府の支援措置に関しWTOの協定違反だとの認定を勝ち取って、韓国を牽制(けんせい)したい考えがあると指摘する。

 昨年12月、日韓や欧州各国などは仏パリで開かれたOECD造船部会で、造船分野への公的支援に関する国際規律の策定に向けた協議を開いた。

日欧などが目標を共有しルール作りを推進する立場を示したのに対し、韓国は低価格の受注を規制するなど一部の目標に強く反対。協議は決裂し、正式交渉の開始には至らなかった。国交省によると、この協議では、欧州の参加国から韓国の造船支援について「市場歪曲(わいきょく)の懸念がある」などとする批判の声も上がった。

■「韓国は折れる意思、全くない」

 川瀬氏は、韓国がOECDの協議で孤立しても反対の立場を貫いたとして「韓国がこの問題で折れる意思は全くないだろう」と推測。日本政府がEUを味方につけることで、韓国政府によるWTO協定違反の認定を勝ち取り、「OECDのルール作りで韓国を追い込むことが理想的な戦略だろう」と分析する。

 ただし、新型コロナの感染拡大による経済への悪影響が続く場合、欧州各国でも造船業支援を積極的に進めざるを得ない状況となる懸念があり、国際世論は流動的との見方もある。

 WTOの紛争処理は当事国同士の協議で解決しない場合、パネルが設置されて審理が進められる。新型コロナの感染拡大でWTOの手続きに影響が出る可能性もあり、日韓の対立は長期化が不可避だ。

https://www.sankei.com/economy/news/200405/ecn2004050001-n1.html
産経ニュース 2020.4.5 16:34

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