「日帝残滓」の主なものが建物と日本語、特に漢字である。

 統治時代の建物はいまもたくさん残っているが、設計が良くて丈夫なのだ。

 京城駅はKTX開通前の2003年までソウル駅舎として利用され、いまは博物館になっている。旧朝鮮銀行も中央銀行の博物館だ。三越百貨店京城店は新世界百貨店本店、丁子屋百貨店本店はロッテヤングプラザとして、当時と同じ用途で営業を続け、京城電気本社ビルは電力事業を引き継いだ韓国電力公社のソウル本部として活用されている。

(中略)

日帝残滓の抹消を叫ぶソウル市だが、旧京城府庁は市立図書館、旧京城裁判所は市立美術館として使用しており、ソウル市議会も統治時代に建造された京城府民館を使っている。ソウル市議は統治政府の京城府民館で拳を振り上げ、日本製品の不買を叫んでいる。

 言語はさらに多い。韓国人に人気があるウドン、オデン、チャンポンは統治時代の日本語だ。韓国語のオデンは練り物全般を指し、チャンポンは韓国式中華料理の定番の真っ赤なメニューで、日本のオデンやチャンポンとは異なるが、ウドンは日本と同じである。

 韓国政府の成立は1948年8月15日。直後の10月9日、政府はハングル専用法を制定し、ハングル表記に括弧で漢字を添える併記を許容した。

 その後、1970年代に当時の朴正煕大統領が漢字廃止を宣言し、漢字教育は中学校と高校の漢文のみとなった。受験に影響がなかったことから漢字学習者は少なくなり、1980年代には新聞や雑誌も漢字を使わなくなった。小学校での漢字教育は一切禁止され、教えた教師は懲戒免職など重い処分を受ける徹底ぶりだった。

そうはいっても韓国は1000年以上に渡って中国の影響下にあり、近代化は日本の統治下で進められたことから、日中に由来する漢字語はとても多く、さまざまな分野に及んでいる。哲学、主観、客観、芸術、文学、科学、技術などは、統治時代の日本語で、代替する韓国語はない。

 さらに韓国人はほとんどが漢字名だ。

 1970年以降に学校で学んだ世代は、自分や家族の漢字名を書くことができない人が少なくないし、もちろん、他人の漢字名を読めない人が多い。

 結婚式や正式なレセプションは、芳名帳や祝儀袋など自分の名前を漢字で書く例が一般的だが、漢字を知らない世代は読むことができず、名前で呼びかけることもできない。

 芳名帳をスマホで撮ってSNSやメールで送ると読み方を返信するサービスが登場したほどだ。

 韓国の学術用語は漢字語が多く、漢字を見れば一目瞭然だが、ハングルは丸暗記するしかない。ハングルは表音文字で、すべてひらがなで表記するみたいなものである。

 同音意義語がとても多く、たとえば、全力、電力、前歴、戦力、戦略のハングル表記はすべて同じで、間違いが起こり得る。近年、若者を中心に言葉の乱れが指摘されるが、大学生が「クムイル(今日)」を金曜日(クミョイル)の略語と勘違いした例すらある。

 大学生の学力低下が社会問題として浮上し、朴槿恵前政権は漢字教育の復活を決めた。基本漢字300字を道徳・社会・数学・科学など、国語を除く小学5年生と6年生の教科書で併記することにしたのだが、文在寅政権は、この漢字教育の復活を白紙化した。日帝残滓を排除するという名目だが。

歴史書の原文を読むことができなくなった韓国人
 東アジアの経済交流が活発化しているいま、日本人と中国人、台湾人は、言葉が通じなくても筆談やスマホに漢字を打ち込んである程度、コミュニケーションギャップを防ぐことができるが、漢字語を使う国のなかで、韓国人だけ理解ができず、誤った解釈を堂々と口にする。

 日本は鎌倉時代以降の公文書は漢字とひらがなを併用しており、日本人は過去の文書を原文で読んで判断できる。

 一方、韓国は、1945年以前は漢字表記か漢字とハングル併用であり、漢字を読めない韓国人は、歴史を原文で知ることができない。

 政府や政府御用達の学者が歴史認識を操ることは、さほど難しいことではない。日帝残滓といいながら中国発祥の漢字を禁止した背景はそこにありそうだ。

 韓国の反日が好んで使う「歴史を忘れた民族に未来はない」というフレーズは、歴史書の原文を読むことができない韓国人を指している。

佐々木和義



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