【北京時事】

中国は対米摩擦の長期化を見据えて地域間の協力強化を重視し、アジアや欧州との大型経済協定の実現を急いでいる。ただ、合意にこぎ着けても、その後に行き詰まるケースがあり、16日に参加を申請した環太平洋連携協定(TPP)も先行きは見通せない。

中国は昨年11月に日本や韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など15カ国による地域的な包括的経済連携(RCEP)、同12月には欧州連合(EU)との投資協定に相次いで合意した。

これらに加え、TPPへの参加は、交渉中の日中韓自由貿易協定(FTA)と並んで最優先の目標に掲げられている。
 
RCEPはインドの離脱などで難航したものの、中国の積極的な取り組みも奏功し、最終合意に至った。中国は突出した人口や経済力で勢力圏の拡大につなげたい考えだ。来年1月の発効に向け、中国の期待通りに事が進んでいる。
 
一方、EUとの投資協定は暗礁に乗り上げた。中国は将来のFTA締結も視野に強制労働問題などで譲歩し、推進派のドイツと共に交渉をまとめた。

ただ、新疆ウイグル自治区での人権問題をめぐってEUが対中制裁に踏み切ったことで事態は急変。中国の報復制裁を受け、EU欧州議会は今年5月、投資協定の承認手続き「凍結」を決議した。再開のめどは立っておらず、中国はいら立ちを強めている。
 
TPP加入には「知的財産保護、政府調達などで極めてレベルの高いルール」(西村康稔経済再生担当相)を満たす必要があり、中国の早期加入の実現性は低いとみられている。日本などの根強い警戒感に加え、対EU協定のように経済以外の要因が障害となる可能性もある。


2021年09月17日20時37分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091700898&;g=int