実弾射撃場では笑いながら大騒ぎ
食事もずさん、集団感染にセクハラも
指揮官から兵士まで気の緩みが明確に

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▲今年7月、忠清南道論山の陸軍訓練所入営審査隊に入る男性たち。/シン・ヒョンジョン記者

 米ウォールストリート・ジャーナル紙は「台湾軍の綱紀の緩みと精神力では中国軍の侵攻に対抗できない」と指摘したが、韓国軍でも同じく全体的な綱紀の緩みに対する懸念が常に浮上している。

 韓国国防部(省に相当)の徐旭(ソ・ウク)長官は先日、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射した直後、「挑発ではない」と発言し問題になった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領就任後だけで北朝鮮は少なくとも77回にわたり核やミサイルによる挑発を行い、それらに対して徐長官は「挑発」と指摘してきたが、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長がこれに反発すると、韓国政府は「挑発」という言葉を使わなくなり、また韓国軍の責任者である徐長官もこれを口にしなくなったのだ。韓米連合訓練は3年連続で屋外での訓練を省略したコンピューターシミュレーションだけになった。今年8月の連合訓練もコロナなどを口実に人員の縮小を重ね、従来のわずか12分の1にまで規模が小さくなった。

 現場の部隊もコロナの影響で2年連続で訓練らしい訓練はほとんど行っていない。陸軍で18カ月の徴兵期間を過ごす兵士たちについても「コロナ隔離だけで終わってしまうのでは」といった懸念の声も相次いでいる。訓練兵たちが実弾射撃場で笑いながら大騒ぎしても、幹部や教育担当者たちは「制止が難しい」と訴えている。食事のずさんさや陸軍訓練所での過剰な感染対策が問題になると、現場の指揮官らは「市民の抗議が怖い」との理由で実戦的な訓練よりも無難な部隊管理を優先している。

 このような状況に加え空軍での女性副士官死亡事件、ソマリア海域派遣の清海部隊でのコロナ集団感染など構造的な病弊も表面化している。徐長官は就任から11カ月で国民に7回謝罪した。しかし実質的な責任者はほとんど処罰を受けていないことから、「韓国軍上層部のモラルハザードも度が過ぎている」といった指摘まで出ている。かつて韓米連合司令部で副司令官を務めた任浩永(イム・ホヨン)氏は「主敵の概念を揺るがした政治家の責任が最も大きい」と指摘した。

ウォン・ソンウ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2021/10/28 10:01
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