[2022年、半地下に住む] 1. 保証金 「LH伝貰賃貸」を調べたソクスさん 1億2千万ウォンの保証金支援の限度で家探せず 2.管理費 「LH買取住宅」の順番が回ってきたスヒョンさん 管理費7万ウォンがネックになりあきらめ 3.関わり 炊き出しなど支援団体が集まっている所か 地下鉄料金1500ウォンがかからない所か

 韓国政府は、大雨災害による惨状を呈した半地下の家に対して「サンセット制度」(10~20年の猶予期間を置き順次住居用半地下建築をなくす制度、ソウル市)を宣言し、「根本的改善」(国民住居安定実現方案)を誓った。だが、政府に向けられた半地下の住民たちの提言は慎重だった。彼らは「地下」の家を出て「地上」の家に住むまでの関門を決して甘く見ていない。重要なこと、些細だと思われること一つ一つに、それぞれの考えがあった。

 ソウル市貞陵洞(チョンヌンドン)の半地下に住むパク・シネさん(仮名・62)も、ソウル市の半地下退出の話を聞いて近所の人たちと話し合ったという。「私もこれまで苦労して子どもを育てたから。まず子どものいる家から正常な家を与えてほしい。半地下から出て引越し費用すら捻出するのが難しい家はないか、町内から離れられない理由は何なのか、そういうことを丁寧に検討して対策を出してほしいと言ってます」

 地下・屋根裏・考試院(バス・トイレ・炊事場共同などの簡易住居)など非適正住居に住む人々にとって、「安全な地上の家」は誰よりも切実だ。ただ、生半可に希望を抱くことはできない。不安と希望の間のギャップを広げるのは、彼らにとって命綱である現在の住居福祉制度の限界だ。

 「半地下その後」のために、政府は何を準備しなければならないのか。住民たちの声と共に、韓国都市研究所が長屋、考試院、半地下など非適正住居に住む50人の深層インタビューを通して作成した2020年報告書「非適正住居地の住居状況深層調査」(以下、住居状況調査)を参照して取り上げてみた。住居状況調査の対象者たちの考えは、本紙が15~16日に会った半地下や考試院の住民たちの話と驚くほど似ている。一言でいえば、「家を超えて、暮らしを考えてほしい」という要求だった。

 ソウル石串洞(ソックァンドン)の半地下に住むカン・ソクスさん(仮名、67)は、ふいに再整備事業の噂を口にした。「この建物も街路住宅整備事業の認可を推めるという噂があります」。家が再建築の対象になれば、ソクスさんの「暮らし」は? 「出て行かなきゃ。出て行って、行けるところは半地下しかない」

関門1.お金:保証金200万ウォン

 ソクスさんの家は保証金200万ウォン(約20万円)、家賃20万ウォン(約2万円)。保証金200万ウォンはソクスさんが手にする唯一のまとまった資金だ。所得は基礎生活保障(生活保護)の住居・生計給与など、ひと月79万ウォンだが、家賃と公課金を除けば40万ウォン程度でひと月を暮らす。貯金をする余裕はない。

 しかし、ソクスさんの持ち金200万ウォンは、民間の賃貸市場では取るに足らない額だ。首都圏の伝貰(チョンセ=一定の保証金を貸主に預ける代わりに月々の家賃は発生しない賃貸方式)の平均価格は、2016年の1億5千万ウォン(約1540万円)から2020年には2億1千万ウォン(約2150万円)まで上がった(2020年住居実態調査)。ソクスさんの200万ウォンと市場価格の差が広がるほど、その差を埋めなければならない公共の住居福祉負担が大きくなる。そのうえ、政府は公企業の財政効率性を強調している。

 政府の住居福祉は、住居費支援と公共賃貸住宅に大きく分けられる。住居費支援はソクスさんのような「基準中位所得46%以下」世帯を対象にした住居給与が代表的だ。2022年の基準中位所得は単身世帯で194万5千ウォン(約19万9千円)であり、住居給与は月最大32万7千ウォン(約3万3500円)。ソクスさんがこの家を出れば再び半地下に行くしかないと予想するのはそのためだ。

 最近、ソウルで最も大きく増えた公共賃貸住宅のタイプは、事実上、伝貰保証金を支援する制度の伝貰賃貸だが、これもまた急激に上がる市場価格を前にお手上げ状態だ。伝貰賃貸が最大で支援する伝貰保証金は1億2千万ウォン。「その金額で入れる家を探すことはなかなかできません」(カン・ソクス)。経済正義実践市民連合のキム・ソンダル政策局長は「究極的には、民間の不動産市場が安定してこそ賃貸料が安定し、公共の財政支援の負担も減る好循環がうまれる」と話した。

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Yahoo!Japan/ハンギョレ 8/19(金) 13:44 配信
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