◇順位は実力を保障しない

最近、韓国が6大強国の仲間入りを果たしたという消息が聞こえる。米国時事週刊誌「USニューズ&ワールド・レポート」が発表した結果だ。85カ国の政治・経済・軍事影響力を総合評価する時、米国・中国・ロシア・ドイツ・英国に続き韓国が、そしてフランスと日本・アラブ首長国連邦(UAE)・イスラエルがその後に続いた。だが冷静になる必要がある。実はこの調査は10分野の領域で行われたが、韓国は国民の冒険への積極性(51位)や事業開放性(76位)、生活の質(24位)、人権のような社会構成員が共有する目標(42位)では低い点数に留まった。

このように「順位」が「実力」をゆがめることは宇宙分野でも起きている。韓国政府は羅老(ナロ)号と月軌道船(タヌリ号)の相次ぐ成功に自信を得て「7大宇宙強国」として生まれ変わるだろうとぶちあげた。1トンを越える人工衛星を軌道に上げることができるというのがその根拠だ。しかし、ほとんどの専門家はこれに同意しない。「7大強国」の本質的意味とその「成績」が国際社会でも有効なのか返答に困るためだ。

トン(t)級発射体の開発力量だけを問題にするなら韓国はすでに7位(2022年)の席を確保した。韓国の宇宙分野予算は11位(2022年)、人工衛星打ち上げ件数は14位(2022年)だ。どうにかここまでは韓国がライバルに追いつくことができるだろう。

◇イ・ソヨンに続く宇宙飛行士、まだ出て来ず

だが、韓国が38人目として有人宇宙ミッションに参加した後、いかなる活動もないという事実を思い出さなくてはならない。イ・ソヨン博士は2008年世界で475人目、女性として49人目の宇宙飛行士になった。2022年だけでも14カ国出身63人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションと天宮のミッションに参加した。そんな中で「順位」に何の意味があるだろうか。そのうえ米国・中国・日本・インド・UAE、欧州宇宙機関(ESA)は2020年代に60個以上の月探査船や太陽系探査船を打ち上げるが、韓国はタヌリ号が唯一の太陽系探査船だ。

なぜ順位にこだわるのだろうか。ちゃんと組まれた戦略がないからだ。哲学がないからだ。国権侵奪と韓国戦争(朝鮮戦争)を体験した後、すべてのことが焦土化した韓国は高度成長で産業社会に進入した。急げば副作用はつきものだ。我々の価値観は単純化・画一化し、内面よりも外見に、無形の価値や内実よりも数字や指標を重視することになったかもしれない。

このようなことは政治と教育にそのルーツを求めることができる。そのため最上位の価値に悩むよりは数字に執着する文化が席を占めた。そのうえ、すべての構成員が参加して塀を崩し、100年を見通す統合戦略を立てる方法に対する訓練を受けたことがない。

ムン・ホンギュ/韓国天文研究員・宇宙探査グループ長

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https://news.yahoo.co.jp/articles/aa7ec2d74586528f675ac10baf8bc3bc3abb4e5e