登録:2023-04-03 05:10 修正:2023-04-03 06:54

リュ・ヨンジェ|議政府地方裁判所南揚州支院裁判官
 裁判をしてみると、まれに見ることになる状況がある。被告人が無罪を主張しながらも、一方では「道義的責任を負う」として被害者との合意を試みる場合、そうしたことが起こりうる。問題はその後に起きることだ。
一部の被告人は、有罪判決を宣告されても、合意が斟酌され罰金刑や懲役刑の執行猶予など望みの結果を勝ち取ることになると、
態度を変え、裁判結果はすべて偽りであり、自分はくやしく、被害者に対する道義的責任さえ負うことはないといった話をする。
被害者は一足遅れで怒り、むしろ合意した自分を責めさえする。そういった時に感じることになる。示談金が支給されたといっても、被害者にとって、それが終わりではないことを。

ー中略ー

 にもかかわらず、日本だけでなく韓国内でも公然と、2018年の最高裁全員合議体の判決は、
政府の解釈と合致せず誤っており国際法に違反するものだとする内容が主張されている。それは本当なのだろうか。

 大韓民国の法制上、国家間の条約内容の解釈の権限は、行政府ではなく司法府が持つ。司法府が2018年の判決を下す際、条約の締結に関する大韓民国政府の立場を十分に考慮しなかったのだろうか。
そうではない。司法府は、強制動員被害者が2005年に日本企業を相手取り訴訟を提起した時から、2018年に最高裁が全員合議体の判決によって裁判を終了するまで、延々と13年間にわたり裁判を行った。
その間、最高裁は、韓国政府および日本企業とともに裁判に関する密談をやりとりすることさえしたのであり、韓国政府の立場を十分に聞いたわけだ。
それほどまでに忠実に政府側の立場を聞いても、「1965年の韓日請求権協定」によって強制動員被害者の日本企業に対する損害賠償請求権が消滅しないという解釈を下したとすれば、
韓国政府は、1965年の韓日請求権協定と強制動員被害者の損害賠償請求権に関する最高裁の解釈に従わなければならない。それが法治主義だ。

 2018年判決は国際法に反するのか。主に戦後処理などのために、国家間でしばしば締結される「一括補償協定」というものがある。
被害国家が自国民の被害を含む全体的な被害に対する責任を加害国家に一括して問うという内容の条約で、国際法的にその効力は認められてきた。
2018年の判決が国際法に違反するという主張は、「日本の不法な植民地統治行為について、韓国と日本が締結した一括補償協定が1965年の韓日請求権協定であるため、
その協定の履行を通じて、日本の不法な植民地統治による韓国の被害者の請求権(訴求権)はすべて消滅した」とする内容が主になる。
だが、2018年の最高裁全員合議体の多数意見(7人の最高裁判事)は、1965年の韓日請求権協定では、日本の植民地統治の不法性に関して両国間の意志の合致が成立しなかったので、
植民地統治の過程で発生した不法な人権侵害に関する損害賠償請求権も、同協定の内容には含まれないと判断した。
ならば、国家間の一括補償協定によって国民個人の補償請求権が消滅することを認めるとする国際法上の主流の観点によっても、
1965年の韓日請求権協定は強制動員被害者が被った不法行為に対する一括補償を含まないため、被害者の日本企業に対する損害賠償請求権は同協定によっても消滅しない。
2018年の判決の論理自体は国際法違反にはなりえないという話だ。

ー後略ー

全文はソースから
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/46360.html