来日中のアジアインフラ投資銀行(AIIB)のルトガー・シュークネヒト筆頭副総裁は24日、東京都内で時事通信のインタビューに応じ、「日本との協力は極めて重要だ」と述べ、関係強化に意欲を示した。中国主導のAIIBに米国と日本は加盟していないが、気候変動対策をはじめ、日本が関わるインフラ開発事業への協調融資などに期待を表明した。

 シュークネヒト氏は「日本とは共通の利益が多い」と明言。「地政学を巡る困難な環境の中で『懸け橋』が必要だ」と、AIIBが果たす役割の大きさを強調した上で、「日本は国際開発金融機関の一員としてのAIIBの努力をサポートしてほしい」と訴えた。
 具体的な協力分野として、ラオスでの大規模風力発電所建設事業を挙げた。この事業には日米が主導するアジア開発銀行(ADB)や日本の国際協力機構(JICA)などとともに、AIIBも融資団に加わっている。
 AIIBは、2025年までに1年間に承認する投融資案件の半分を気候変動対策関連にする目標を掲げ、3年前倒しで達成したばかり。シュークネヒト氏は、環境分野の協力を「さらに強化していきたい」と話した。
 一方、16年のAIIBの業務開始時には、融資承認の透明性といったガバナンス(統治)の問題が懸念された。シュークネヒト氏は、世界銀行やADBと同等のESG(環境・社会・ガバナンス)基準を設け、200以上の投融資案件に取り組んだ実績を説明。協調融資が増えており、「他の機関もAIIBを信用している」と述べ、懸念は解消されているとの認識を示した。

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