ウクライナのTPP加盟申請、経済分野で一部代替も可能に NATOやEUは加盟実現に長期間必要、高いハードルも

ウクライナが環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を申請し、
ニュージーランドで15、16日に開かれる閣僚会合で協議される見通しだという。

ウクライナは、1991年12月に旧ソ連が崩壊した後、
旧ソ連体制から脱却するために北大西洋条約機構(NATO)加盟や欧州連合(EU)加盟を目指した。

NATO加盟には極めて高いハードル(加盟国がロシアから攻撃されると加盟国はロシアを相手に戦争をしなければいけないという集団的自衛権)があり、
これまで何度も政治課題になりながらもドイツ、フランスらの反対で頓挫してきた。

また、EU加盟には、民主主義、法の支配、人権や少数派の保護といった高いハードルがあり、
当時のウクライナでは無理だったし、EU側もロシアを刺激しないように、ウクライナの要請を却下した。

その後、ウクライナは、ロシアの圧力の中で欧州志向を徐々に強めつつ、2019年2月ウクライナ議会は憲法を改正し、
EUとNATOへの加盟を目標として明記した。

そして今回のロシアによる侵攻のなか、ウクライナは22年9月30日、正式にNATO加盟の申請を行った。

他方、EUは22年6月23日、ウクライナを加盟候補国とすることを決定した。こちらの方がNATO加盟より進んでおり、
ウクライナはEUと正式な加盟交渉中であるが、過去の加盟国をみると、候補国となってから加盟実現まで10年程度を要している。

クロアチアは04年にEUの加盟候補国となったが、加盟したのは13年。
トルコは1950年代からEU加盟を求め、99年に加盟候補国となったが、いまだに加盟していない。

また、ウクライナの1人当たり国内総生産(GDP)は4000ドル程度で、
EU平均の1割程度、EU内の最貧国であるブルガリアの半分にも満たない。

実際問題としてウクライナの国是であるNATO、EU加盟には時間がかかる。
そうであれば、少なくとも経済分野でEU加盟の後押しにもなり、一部の代替も可能なTPP加盟に関心を持つのは当然だろう。

TPPは民主主義の経済圏であり、専制国家の中国を排除する包囲網でもある。
つまり、TPPでは物品貿易、サービス貿易の自由化、知的財産権の保護などのほかに、資本の自由化や国有企業改革もあり、
共産党1党独裁の中国は国家体制(生産手段の国有化原則)を変更せざるを得なくなるので、
事実上参加できないハードルになっている。

この点に着目した英国も、EU離脱後にTPP参加を表明した。
TPP加盟国は英国の加盟を認めることで正式合意する見込みだ。

EUには経済だけではなく政治統合の側面もあるので高いハードルだが、
TPPは経済中心なので民主主義国ならハードルはそれほど高くない。この点もウクライナには魅力だ。
ウクライナを経済支援する国際世論次第でもあるが、ウクライナにとってはEUよりも加盟は容易だろう。 

夕刊フジ 2023.7/13 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230713-OWUVD6EF2RNUDC2GM7AJLHQCS4/

※関連スレ
【産経新聞】 ウクライナTPP加盟申請 閣僚会合で協議か [7/7] [仮面ウニダー★]
http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/news4plus/1688701971/