【7月16日 Xinhua News】香港の複数の大学が共同研究を進め、このほど、「人工イガイ」を使って海水に含まれる放射性物質の量を測定することに成功した。

 この研究は香港教育大学、香港城市大学、香港大学が共同で完成させた。香港教育大学科学・環境学部の胡紹?(こ・しょうしん)教授のチームが以前発明した「人工イガイ」は、天然のイガイと似た性質を持ち、強い金属吸着能力を持つ。海洋中のさまざまな金属の含有量や持続的変化を一度に検出でき、これまでに世界29カ国・地域で使用されている。

 今回の研究は胡教授が主導した。研究チームは2022年、原子力発電所から排出される放射性物質の中から3種類を選び、試験を行った。一連の試験のすえ、研究チームは「人工イガイ」が約7~8週間で放射性物質を飽和レベルまで吸収できることを発見した。さらに「人工イガイ」をきれいな海水に移し、先に吸収した放射能汚染物質を放出させ、イガイに蓄積された放射性物質の量を測定することで、海水の放射能汚染物の濃度とその変化を正確に測定できた。

 現在、海水に含まれる放射性物質の変化を測定するには数百リットルの海水を採取し、複雑なサンプリングや前処理を行う必要があるといわれる。一方で、「人工イガイ」の原価は1個につき約8香港ドル(1香港ドル=約18円)で、前処理に必要な人手やコストも節約できる。

 胡教授は次のように述べた。放射能汚染水が海洋生態系と人間の健康にもたらすリスクを軽視すべきではない。この研究は「人工イガイ」が従来の検出方法の限界を突破できることを実証した。地方政府が環境と食品の安全を守るために、低コストかつ費用対効果の高い方法で水域の放射能汚染を定期的に点検するための一助となることが期待される。(c)Xinhua News/AFPBB News

Xinhua News/AFPBB News 2023年7月16日 12:05
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