中央日報/中央日報日本語版2023.08.07 11:01
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ー前略ー
先週末、韓国社会は非常に不安な時間を過ごした。肌が溶けるような蒸し暑さ、相次ぐ「通り魔」殺人予告、
さらに右往左往するセマングム世界スカウトジャンボリーまで、不快なニュースが溢れ出た。

記者も大きく変わらなかった。先週金曜日、武装警察が配置された蚕室(チャムシル)駅を通り過ぎながら、
思わず全身が震えた。ひょっとしたらと思って周りをきょろきょろした。
隣人を脅威の対象に感じる社会、各自が生き残らざるを得ない地獄ではないかという気がした。

もちろん、その不安は長続きしなかった。猛暑のせいにした。暑さが和らげればよくなるだろう、
明後日には立秋(8日)だから、という期待をかけてみた。しかし、燃える地球村は来年も訪れるだろう。
気象専門家によると、地球はますます熱くなっている。これを防ぐ特段の対策があるのかという疑問も高まっている。
軍隊内の暴力を扱った話題のドラマ『D.P.シーズン2』の「決して変えられないだろう。
何でもやなければ」というセリフに切羽詰った気分になった。

何をすればいいか。小説家のキム・ギチャンさんは「次の世代に譲ることが絶望しかないかもしれないという恐怖、
良いものを守るために私たちはさらに多くの恐怖を感じなければならないのかもしれない」と語る。
つまり、まだ最悪は来ていない、もっと叱られてみないと分からないということだ。猛暑を扱った短編集『気候変動時代の愛』でだ。

小説の中の世界は平均気温最高54度、体感温度73度だ。国が気候対策を棚上げにしてきた間、
世の中は熱湯のように沸き上がり、濃いPM2.5(微小粒子状物質)が人々の息の根を締めることになった。
代案として作ったのが「ドームシティ」だ。高く固い壁を張り、空に透明光のパネルを覆った。
きれいな空気と自動温湿度装置を備えている。
反面、そこは特権地域、人種・宗教・財産などによって居住者と追放者に分かれる。

追放者たちは太陽を避けて地中に洞窟を建てて暮らす。「家族や恋人、とても親しい間柄でなければ付き合わない。
蒸し暑さの中で他人が噴き出す熱気を何も言わずに我慢していた人たちは、枯れたり病気になったりして死んだ」。
最近続出する気候難民を見ているようだ。だからといってドームシティの住民たちがただ幸せなわけではない。
追放者たちと絡んだ羞恥心や罪悪感を拭えないからだ。

気候災害、これといった対策がない。環境に対する個人と社会の覚醒、炭素排出削減に向けた連携と努力だけだ。
最大の敵は気候不感症だ。特に、共同体の回復が最優先だ。両極化が社会を崩壊させる最悪のウイルスであるためだ。
実際、社会学者エリック・クライネンバーグ氏の『シングルトン』によると、
米国内で猛暑による死亡者は人種差別および不平等地図と一致し、
また同様に劣悪な地域でも近隣間ネットワークが有効なところではその被害が著しく少なかった。
ー中略ー

済州のゴミのように今日の私は昨日の私が集まったものだ。人のせいにしては決して良い自分を作ることはできない。国も同じだ。
世界スカウトジャンボリーの運営失敗をめぐり、また前政権のせいにする声が聞こえる。
ダメた。12日の行事が終われば、責任の所在を明確にしなければならない。
うやむやにごまかしては困る。しかも今回は子供たちが見守っている。

パク・ジョンホ/首席論説委員
https://japanese.joins.com/JArticle/307488