米国のワシントン首都圏交通局が地下鉄の次世代車両「8000系」の発注先に日立製作所のグループ会社を選び、
交通局の全ての営業用車両を日系メーカーが独占する可能性が出てきた。
実は、8000系の発注先メーカーを選ぶプロセスで最有力候補と見なされていたのは中国の鉄道車両世界最大手、
中国中車(CRRC)だった。「ダンピング(不当廉売)と言えるような好条件で受注を狙っていた」(関係者)とされる。
中国中車のもくろみが崩れたのは、米国に近接するキューバにスパイ施設を設置する計画が6月に報じられるなど
「ありとあらゆる手段で外国の機密情報を盗み取ろうとしている」(政界筋)とされる中国に対する米国の強い不信感があった。
(共同通信=大塚圭一郎)

 ▽日系メーカー独占は「大いに可能性がある」
 ワシントン首都圏交通局は2021年3月、256両の8000系の製造を日立製作所グループに発注すると発表した。
日立が2025年10〜12月期に納入予定の最初の編成はイタリアの工場で組み立て、
ワシントン近郊のメリーランド州で建設中の工場で量産する。追加のオプション契約が全て行使されれば計800両納入し、
その場合の受注額は22億ドル(1ドル=140円で約3080億円)に達する。
 8000系の導入で欧州系メーカー製の旧型車両の一部を引退させて置き換えることが既に決まっているが、
もしもオプション契約を全て行使すれば欧州系車両を全て退役させることが可能になる。
その場合は8000系と、計748両と全体の約6割を占めている川崎重工業グループ製の「7000系」の
日系メーカー製車両が世界最大の経済大国の首都を走る地下鉄の営業用車両を独占することになり、
鉄道大国・日本の技術を売り込む“ショーケース”の役割が期待できる。
交通局関係者は「車両整備の効率化などを考えると、(営業用車両の)7000系と8000系への集約は大いに可能性がある」
と打ち明ける。
ー中略ー

▽中国メーカーは事実上排除、ボストン地下鉄は「安物買いの銭失い」
 中国メーカーの「スパイ電車」を阻止すべく、米国で2019年12月に成立した国防予算を決めるための国防権限法は
連邦政府予算を使った中国メーカーの鉄道車両やバスの購入を禁止した。
連邦政府予算による補助金を止められれば公共交通機関は車両購入の財源で息の根を止められることになり、中国中車は事実上排除された。
 ただ、これに先駆けて中国中車は米東部ボストンと西部ロサンゼルスの地下鉄車両、中西部シカゴの通勤用電車などを既に受注している。
うち2019年に営業運転が始まったボストン地下鉄の車両は脱線やバッテリーの爆発、ブレーキの不良といったトラブルが続出し、
たびたび運行停止に追い込まれている。知り合いのボストン住民は「安物買いの銭失いだ」とため息をついていた。
 日本には中国メーカー製の鉄道車両は走っていない。
一方、国土交通省の「地域交通グリーン化事業」などの補助金支給が追い風となって日本のバス事業者は、
中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)が製造した車両を路線バスに相次いで導入している。
今年2月にはBYDが日本で販売したEVバスで、人体に有害な物質とされる六価クロムを含む溶剤が一部使われていたことが発覚した。
ー後略ー

全文はソースから
47ニュース 2023/09/07
https://nordot.app/1067638480472064955?c=39546741839462401