沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)で先月末、中国当局のものとみられるブイが漂流状態で発見された。
中国は昨年夏にも尖閣周辺の日本のEEZに別のブイを設置し、日本の撤去要求を無視してきた。
こうした動きは覇権主義を背景に、中国が管轄権を既成事実化し、実効支配を狙う〝暴挙〟に見える。
「即時撤去」を主張する声が上がるなか、岸田文雄政権は毅然(きぜん)とした姿勢を示せるのか。

森屋宏官房副長官は1日の記者会見で、海上保安庁が1月29日、尖閣諸島の北約170キロの日本のEEZで、
新たなブイが漂流しているのを確認したと明らかにした。

ブイは直径5メートルほどで、「中国海洋監測」と表記され、上下を逆さに転覆し、機能停止していた。
政府は中国側に説明を求めたという。海保は発見当日に「航行警報」を発出し、付近を航行する船舶の安全を確保するため、
ブイに発光物を取り付けた。

中国は近年、日本への圧迫を強めている。

昨年7月にも、中国の海洋調査船が、尖閣諸島・魚釣島の北西約80キロのEEZ内に「中国海洋」などと表記した海洋ブイを
勝手に設置した。
岸田首相は11月、米カリフォルニア州で行われた日中首脳会談で「即時撤去」を求めたが、習近平国家主席は応じなかった。

中国海警局船の動きも看過できない。
昨年1年間に、尖閣諸島周辺の接続水域では、海警局船の侵入が通算352日確認され、2012年の尖閣国有化以降で最多となった。
尖閣諸島は日本固有の領土だが、海警局側は、日本の漁船と海保船が尖閣海域に「不法侵入した」などと、
常軌を逸した主張をしている。

海保関係者は「海警局は21年、人民解放軍傘下の準軍事組織に改組され、艦船の大型化や武装強化を急加速している。
暴発の懸念が強まり、現場の緊張感は日に日に高まっている」と明かす。

自民党外交部会は1日、「ブイの即時撤去要求」の必要性を確認し、
自力撤去も見据えて国際社会の理解を得る外交努力をするように政府に求めた。

岸田政権の対応をどうみるか。

福井県立大学の島田洋一名誉教授は「新たなブイも、昨年発見したブイも即時撤去すべきだ。
岸田政権は『国連海洋法条約に規定が明記されていない』として撤去に消極的で、中国に付け込まれた。
日本の政局混乱も見据えて、中国は攻撃を仕掛けている。日本は与野党が強く撤去を求め、岸田政権の尻をたたかねばならない」
と強調した。

2024.2/2 11:24
https://www.zakzak.co.jp/article/20240202-HAXONLAA45PHNM7FZYKHH2AZVQ/2/