電気自動車(EV)の成長が鈍化している。
日米欧中など主要14カ国の2023年のハイブリッド車(HV)の販売台数は421万台と前年比30%増加し、
EVの伸び率(28%)を上回った。値段が手ごろで車種も増えたHVの人気が高まったという。

私は以前から、EVが8割を占めるノルウェーなどについて、「充電設備の少なさと充電時間の長さ」「航続距離の問題」
「タイヤの粉塵(ふんじん)」「バッテリーに必要なコバルトも紛争国のコンゴに頼っている」などの問題点を指摘してきた。

この〝不都合な真実〟をBBT(ビジネス・ブレークスルー)大学の「大前研一ライブ」で知った学生からも、
「化石燃料由来の電力はエコにならないと感じた。トヨタのハイブリッドのほうがよっぽど現実的。
送配電や蓄電技術の進歩で再生可能エネルギーの割合が増える過程で徐々にEVを進めていくべきだと思う」
などという意見が多数届いた。

数年前には、こんなことを言う人はいなかった。私たちはおそらく世界で唯一、「EVはまだダメ」と言っていたと思う。
実際、この冬にアメリカのミシガン州などでマイナス20度以下に気温が下がったときにはテスラの墓場ができたと報道された。
寒いところでは充電できなかった、補助ヒーターで温めないと時間がかかりすぎて長蛇の列となり、
そこに捨てたままどこかに行ってしまった――という記事だ。

世界中の電気の7割は二酸化炭素(CO2)を出すことで生まれている。
それを使って走らせたクルマを「エコ」だとうたっている。何かおかしいのではないか。

私はかつてトヨタのHVシステム搭載のコンパクトSUV(スポーツ用多目的車)の「C―HR」を九州で走らせた体験がある。
走りながら充電でき、極めて燃料効率がよかった。
1000キロ以上走って、レンタカー会社に返すときに1回しか給油しなかった。
300キロで1回の給油が常識なエンジン車に比べて、ガソリンの使用量は3分の1だった。

この私の経験からも、あたふたと化石燃料を燃やした電気で充電するより、効率のいいハイブリッド車でしばらくは十分SDGs
(持続可能な開発目標)だと思った。トータルでは、こっちの方が絶対いい。ただ、まだまだ世界的には知られていなかった。
それがここにきて、使い勝手の良さに気がついたのだろう。実際、私はその後、C―HRを1台買ってしまった。

これまで世界の潮流がEVに向かっていたのは、優れたHV車を製造しているトヨタ自動車が
主要国でのロビー活動を怠っていたことも一因だ。

トヨタは「FUN TO DRIVE,AGAIN.」(クルマの楽しさ)というスローガンを掲げているが、
そんなトヨタこそ、「C―HRみたいなクルマこそ、実は地球環境全体に対しては優しい」ということを
世界に伝える必要があったのではないか。

現在、トヨタの豊田章男会長は、ダイハツ工業や豊田自動織機などグループ企業の相次ぐ認証試験の不正などで批判されている。
私が最大級で批判したいのは、自分たちの生んだ最高のクルマを、SDGsのうえでも最もいいということを
世界中に認めさせる努力を命がけでしてこなかったことだ。

EVにはいいところもたくさんある。発明家イーロン・マスクのことだから欠陥は克服するだろう。
ただ、まだまだSDGsの面だけでなく極低温の充電など克服しなきゃいけない問題がいっぱいある。
政府が補助金を出して購入を促進するという段階ではないのでは…ということだ。

ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

2024.3/3 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20240303-3QEB43Y5WZOTLAPIIVPWTXB46E/

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