アメリカ合衆国におけるラーニング・
コミュニティの歴史的背景とその展開
伊 東 留 美
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/tandai/kiyou/No.38/08Ito.pdf

LC の歴史は,20 世紀初めの一人の哲学者,ジョン・デューイ(John
Dewey)の考えに遡る。彼は教育における改善を訴えた哲学者であった。
彼は,「学校と社会」(1957)の中で,学校は「課題を学ぶための隔離され
た場所ではなく,生きた社会生活の純粋な一形態たらしめるところの手段
として,考えねばならない」と捉えた。彼は,教育は学習者を引き込むこ
とであり,さらに学習の場は一つではない一方で,共通の文化を築くこと
― 
の重要性を説いた。「学校は小型の社会,胎芽的な社会となる」(デューイ,
1957)という彼の言葉は,学校は一つの共同体であり,そこでの体験は社
会に繋がるものであることを示している。さらに,デューイは,民主主義
社会における多様性を重んじ,大学で市民性を養う必要性を唱えた(Smith
et al, 2004)。