トロツキーはこの矛盾をうまくつなぎ合わせるために永続革命論を持ってきた。
ロシアはたしかに後進的地域だった。
都市部では資本主義化・工業化が進んでプロレタリアートが誕生していたが、
広大なロシア帝国全体からみれば、ロシアは農業国に過ぎない。
農奴制が徐々に壊れつつあったが、皇帝の支配する封建的秩序はなかなか崩れず残っている。
せいぜい赤子の資本主義しかないところで、少数派のプロレタリアートしかいないところで
プロレタリアートの革命が起こるなんて現実離れしている。マルクス主義史観にもそぐわない。
この溝をなんとか埋め合わせることがトロツキーの理論的課題だった。
トロツキーがそこでもってきた考えは
1. 資本主義はもはや西ヨーロッパだけのものじゃない。世界市場に組み込まれたものだ。
ロシアでの革命は必ずや西ヨーロッパにもなんらかの影響で波及するだろう。
ロシアはそのきっかけを作れる。そういう革命的貢献を10月革命やソビエトは果たすはずだ。
2. 後進的知識はその発展を短縮できる利点をもっている。
トロツキーは知ることができなかったが、日本や中国を見よ、彼らがあっという間に資本主義化を達成した事実を。
という訳だね。