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50年代後半ハワードと後のウオルサムが創業
ハワードはセミオーダーで高級メーカーとしての地位を築く
ウオルサムは60年代初めまでは二番手に甘んじていたが吸収した他社のムーブメントと技術を用いて躍進を始める
ごく少数ながら先進的なモデルの製造を開始しその成果をフィードバックすることでアメリカ他社の20年先を走る開発力を見せる
(68年に竜頭巻き20石ブレゲヒゲ搭載のモデルを展開するなど)
香箱と巻き止めやセーフティピニオンへの切り替えなど両社の時計開発には共通点も多いが基本的にウオルサムがハワードに先んじている

この時代は高精度時計の製造には等時性確保のためブレゲヒゲとフリースプラングの組み合わせが必要とされていた
しかし理論の普及前に正しい形状を持つブレゲヒゲの製造は困難でフリースプラングの実現には高品質なテンプが必要だったため高精度時計の製造はイギリスのハイエンドメーカーの特権だった
ウオルサムとハワードは60年代前半にこの高精度時計の製造に挑戦した形跡があるがついにこの方式の高精度時計の製造には至らなかった
ハワードは石無しのセーフティピニオンと平ヒゲのハイグレードウォッチの製造を20年も続行しウオルサムは60年代にごく一部のモデルにクロノメーターバランスとブレゲヒゲを採用するも70年代初めに中断、フリースプラングは妥協的な技術の開発に留まっている
結局アメリカの二台巨頭がイギリスの壁を超えることはなくイギリスメーカーは時代に負けて自滅している