しかし、

《企業家経済の下では、これは企業打算の性格についての間違った分析である
。企業家の関心は、彼の取り分となる生産物の量ではなく、貨幣の量にある。
彼は、産出量を増加させることによってその貨幣利潤を増加させることができ
ると期待するならば、たとえこの利潤が以前よりも少ない生産物量を示すとし
ても、その産出量を増加させるであろう。》

(参照:ケインズ全集・J.M.K Vol.XXIX,p. 81~2)

マルクスのケインズへの影響はカレツキと似ている。バーナード・ショーへの
手紙におけるマルクス批判(邦訳ケインズ全集28巻)などは擬態だったということ
になる。
邦訳が出れば日本人経済学徒のケインズ観は一変するかも知れない。
2018年現在、全集の3分の2が邦訳されているが、残り1/3の中でも本巻が最重要であろう。

邦訳が待たれる。

追記:
そもそも一般理論#3にマルクスの名前がある。

《マルサスが格闘した有効需要の大いなるは経済学の文献から姿を消した。古典派理論に最も
完成した表現を与えたマーシャル、エッジワース、ピグー教授のあらゆる著作をくまなく捜し
てみても、有効需要については一言の言及さえないことに気づくだろう。わずかに、カール・
マルクス、シルヴィオ・ゲゼル、ダグラス少佐という地下世界で、表面下、ひっそりと生き延びる
ことができただけである。》一般理論#3