【2023年・私のベストレース】最悪の大外枠から唖然茫然 「出して、折り合う」ルメールの技術 脱帽の菊花賞ドゥレッツァ

虎石晃【菊花賞・ドゥレッツァ】

 最も衝撃を受けたレースである。菊花賞において最悪と言える大外枠(多くのレースでそうだが)。春のクラシック2戦に出走しておらず、実績は足りず、すなわち能力的にも足りない可能性だってある。しかも、大外である。よほどこの馬に何かしらの縁がない限り、手が出ない状況だ。ルメール鞍上だけにそこそこの人気になっているし。

 ところが、ゲートが切られるや、一気にハナを奪いに行った姿にまず唖然茫然。玉砕覚悟である。「返し馬から行きたがっていた」とルメールがコメントしたように、苦肉の策かもしれない。とはいえ、しっかりと折り合って、他馬が競り掛けてきても落ち着いて走らせた手腕は日本人騎手にはでき得ないもの。馬も強かったが、さらに、人は上手かった。

 有馬記念でもルメールは大外枠から好勝負に持ち込んだが、とにかくスミヨン、ムーア、そしてモレイラなどの外国人騎手は「出して、そして折り合う」ができる。いつの日か、日本人騎手もこれができるようになってほしいものである。

https://news.yahoo.co.jp/articles/22bf53398b81b53973bb4650649454901fd64984