「自分の店を出したい」――カナダで夢をかなえた日本料理人

海外で依然として人気の日本食。農林水産省の調査によると、世界の日本食レストラン数は、’21年の時点で約15万9000店にも上っている。

「世界の主要都市で、日本料理店のレベルが一番高いのはニューヨークです。その次はトロントと言っていいんじゃないでしょうか」

そう語るのは、カナダのトロントで「Zen Japanese Restaurant」をはじめ3軒の日本料理店を展開する「ZENジャパングループ」代表で寿司職人の柏原清一さんだ。

柏原さんは’83年に25歳でカナダに渡り、寿司職人としてオタワで3年ほど働いた後、トロントへ。日本食レストランでキャリアを積み、’00年にトロントのスカバロー地区で「Zen Japanese Restaurant」を日本人経営者から引き継ぎ、独立した。

「カナダに来た当初は、手に入る魚は冷凍のハマチくらいのものでした。それが時代と共に流通業が発展し、トロントにも日本から旬の魚が入ってくるようになった。それを積極的に仕入れて提供したのはZENが最初だと思います」

(略)

多くは、中国人や韓国人のオーナーが日本食を名乗って儲けることを第一に商売していますね…

海外で自分の店を持つ――柏原さん自身も、そんな夢を胸にカナダに渡ったのだろうか。

柏原さんは横浜の調理師専門学校を卒業後、地元の寿司屋で修業を積んだ。米国シカゴで駐在員をしていた父親の影響もあり、「海外に行って寿司を握りたい」との思いが漠然とあったという。

「たまたま、オタワで寿司屋を始めるという父親の友人から『寿司職人を探している』と連絡があり、そこで使ってもらうことになってカナダに来たんです。当初は3年ほど働いて日本に帰るつもりでした。

でもそのうちに、きちんと休みが取れて自分の時間が持てるカナダの生活は悪くないと思うようになって。ただ、給料は本当に安かった。オタワで結婚し、もっと稼がなければと考えて都会のトロントに拠点を移すことにしたんです」

トロントでは2軒の日本食レストランで働いた。

「その内の1軒が「MASA」(すでに閉店)という老舗です。いつも混んでいる忙しい店で、なぜ客が入るか知りたくて、そこで10年働きました。

トロントに来てからは、自分の店を持つことを考えるようになりましたね。実は、中国人経営者に『店を出してやる』と誘われてMASAを出たことがあるんです。結局、騙されたと言ってもいいような経験をして、1年でMASAに戻りました」

だが前述の通り、柏原さんはさんはその後「Zen Japanese Restaurant」を引き継ぎ、独立を果たした。同店は今や、カナダ最大の都市トロントで、日本人による本物の日本料理店としてブランドを確立している。

「トロントには今、800軒くらい日本食レストランがあるんですが、日本人の料理人がやっている店は10パーセントもないと思います。多くは、中国人や韓国人のオーナーが日本食を名乗って儲けることを第一に商売している。

ZENグループは日本食の伝統を守り、日本と同じ本物の料理を提供していきたい。日本食に携わる者の使命として、日本料理店のモデルを作っていかなければと思っています」

全文はソースで
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a61b935808e086565035ba5d698f67b64739b20?page=1