>>427
例えば、温度計が20℃を指し示すとする。20℃という現実があるのは、その法則(温度計の理論)があるからである。

また、温度(計)と温度計の理論は、どちらが先に生じるかということを特定することは出来ない。何故ならそれぞれは、他方が無ければ成立しない関係だからだ。

そのような意味で、温度と温度計の理論は区別されつつも相等するものとして同一である。現実の温度は温度の理論と等しく、温度の理論は現実の温度と等しい。

そして、温度の理論を遵守する存在を温度として、また温度を遵守する存在を温度の理論として意識は捉えるのだから、そこに本質と現象の完全な独立はない。

故に、本質と現象のどちらが先にあるか、という問題にも答えは無い。何故なら、この循環に於いて先はどちらかの後であり、後はどちらかの先になるからだ。

片方が変化すれば、それに応じてもう片方も変化する関係に於いて固定的な真偽は無く、本質や現象は、変化の運動の中で、真でありつつも非真である。