『死』は乗り越えられる
ある系において連続して起こる現象Aと現象Bの形相の間に
共通因子があった場合
現象A∩現象B={a,b,c}
という風になる
これは{a,b,c}が同じ要因として現象Aと現象Bが起こることを意味する
1度あることは2度ある
一度生まれたら2度生まれることを意味している
一度目の誕生∩二度目の誕生={a,b,c}である
つまり死は乗り越えられる 琴美は梅酒を慎重にコップで飲んだ。
美味しい。実に美味しいと味覚にきた。
お粥なんてお米を火にかければできる。
しかし、琴美はお米を炊く炊飯器を持ち合わせていない。
琴美はレトルト食品を買うことにした。
レトルト食品は温めるといいのは一理ある。
琴美は梅干しを探しにグルグル店内を回った。 琴美が数種類の梅干しを見渡していると、羽鳥という生徒に見つかった。
羽鳥「梅干しだな。迷っているのは。
琴美「羽鳥先輩!!
羽鳥「胸、大きくしたいのか
琴美「そうなんです。食べ物が大事なんでしょうか
羽鳥「栄養がいい食事がな 琴美「安い梅干しほど美味いですか
羽鳥「よく気に掛けたな
琴美「私の母は梅干し好きなのですが
羽鳥「私は納豆派だけど
琴美「納豆も買います。どうも。
羽鳥「炊飯器プレゼントしてあげようか 琴美は感動した。炊飯器を貰える……ありがたいことだとしみじみ思った。
琴美「ありがとうございます」
羽鳥「炊飯器取ってくるぞ」
琴美「私の家わかるんですか?」
羽鳥「解るゾ」
琴美「梅干しはどれにすればいいと思いますか?」
羽鳥「『新・梅干し特観』がいいな」
琴美「じゃあそれふたつ買います」
羽鳥「納豆は高いのがいい」
琴美「ではこれ朝にひとつだから三日分買います」 琴美はレジで会計を済ませていた。
羽鳥は炊飯器を取って、琴美の自宅の玄関に置いた。
琴美はプレゼントされて嬉しかった。感動した。
感謝の念を抱いた。羽鳥さん、ありがとう。
琴美「羽鳥さん、ありがとうございます」
羽鳥「よく感謝できるな」
琴美「私の母から教育されて」
羽鳥「琴理さんか。いい人だ」
琴美「それは嬉しい」 羽鳥は、自転車で来ていたらしく、「自転車で帰るんだ」と言って帰っていった。
琴美は、羽鳥が自転車で自宅から来たのを、感慨深いものと視た。
わざわざ炊飯器を寄越すなんて、お金持ちなのだろうか。
琴美はテレパシーで会話をしたくなった。
琴美【羽鳥先輩の自宅はどの辺にあるんですか】
羽鳥はテレパシ―で【十五分ぐらい離れた青山町だな】と答えた。
琴美【青山城で有名なあの辺なんですね】
二人ともテレパシーを経験できて為になったらしい。 羽鳥【青山城、行ったことあるか】
琴美【ありますよー】
羽鳥【上美餅、という言葉、は知ってるか】
琴美【初めて聞きました】
羽鳥は上美餅という御餅が好きだった。
琴美【羽鳥という言葉は餅が好きっていう意味ですね】
羽鳥【今度上美餅をプレゼントしよう、どうだい】
琴美【す、すいません。ありがとうございます】
羽鳥【わらび餅は知ってるよな】
琴美【ええ、わらび餅は知っています】
羽鳥【チーズケーキは好きかい】
琴美【チーズケーキ好きです!】 ねえ、神様っていると思う?
葵が琴美に聞いた。
琴美「う~ん、そういう上の存在っていると思うんですよね。仏もですが。
葵「神様がいると思う理由に,パスカルの賭けが挙げられる。
琴美「どういう賭けなのでしょう。
葵「神様がいるかいないかどちらかに賭けます。神様が実際にいるのなら、永久の幸福。実際にいないのなら、何も失わない。 琴美「神様かいるに賭けた方が良さそうということですね
葵「そういうこと。 神様がいるに賭けた場合、神様がいるなら永遠の幸福が手に入る。
神様がいないに賭けた場合、神様がいても得がない。神様がいないに賭けた場合、神様がいるなら地獄に遭う。
神様がいるに賭けた場合、神様がいないなら何も失わない。 残念ながら、賭け事は「期待」であって「信念」ではない。
ましてや「事実」を示すものでもない。
「死」は「期待」の果てにはない。
「死」は「事実」であり、高々「信念」である。 「死を乗り越える」ために、死の実態を知る必要ない。
人は未知のものへの対応方法を知っている。「無視する」だ。
そして人は、幸運なことに、「知るべきことは知り得る」。 「死を乗りこえる」努力は無駄なばかりではない、
知るべきことを知るための障害だ。
ただし、「知るべきことを知る」努力は、
幸運でなければ、一生を費やしても報われない。 琴美「神様っていると思うんです。目に見えなくても。
葵「紳士だね
琴美「紳士に映るんですね。ひとつ為になりました。 葵「『神様っていると思うんです。目に見えなくても。』って誰かに言って欲しいね」
琴美「あはは。じゃあ茜先輩に同じこと言ってもらいますか」琴美はニコニコしていて微笑んだ。
葵「茜はそんなこと言うかな?『神様はいたずら好き』って言ってたけど」
琴美「あはは。神様はいたずら好き?案外そうかもしれないですね」
茜「そうだよほんとに。悪があるのも神様のせいだよ。だからいたずら好き」
葵「悪があるのは神様のせいなのかな。どうして」
琴美「別に我々だって悪を作るさ」
茜「そうか。我々も、か」 羽鳥【いちごケーキは】
琴美【いちごケーキも好きです】
羽鳥【どちらのケーキがもっと好きなんだい】
琴美【いちごケーキに決まってます!】
羽鳥【ではいちごケーキを来週買ってあげよう】
琴美「え……、もういいです!」琴美は泣き崩れた。
琴美は、なんでも奢ってくれそうな羽鳥が嫌になっていた。
羽鳥の金銭の余裕こそあれど、お金があればいいというわけではなかった。
小さな優しさが、琴美の心を傷つけていた。
羽鳥「ごめんごめん、何で泣くの」羽鳥は悲しかったが琴美も悲愴の想いだった。
琴美「羽鳥先輩、もういいです!プレゼントしないでください!」また琴美が号泣した。
羽鳥は当惑した。優しくしただけなのに、何故嫌われるのか。 羽鳥は琴美が泣いてるのが辛かった。悲しかった。
羽鳥はどうしたら琴美が泣き止むか悩んでいた。
そして羽鳥は琴美の機嫌を取り戻そうと思っていた。
羽鳥「もう泣くのはええやろ?」羽鳥は真剣な表情だった。
琴美はゆっくり起き上がると、「すみません……」と小さく呟いた。
羽鳥は琴美が泣き止んだのを見て助かる思いをした。
羽鳥「もう、スッキリしたか?」
琴美「うぅ……」
羽鳥「もう泣くな、な」
琴美「もう大丈夫です」琴美は泣くのをやめた。
羽鳥「それは良かった。安心したよ」
琴美「もうプレゼントなんて考えないでください」
羽鳥「ああ、それは約束する。もうプレゼントをあげようとは思わない」
琴美「はい。では帰ります」
羽鳥「ちなみに私のこと、嫌い?」
琴美「嫌いじゃないですよ。では」
羽鳥は琴美がスタスタと帰って行った後、泣きそうになった。
ただ、琴美を飽きさせてしまったのではないか、後悔の念が残った。 琴美は家に帰ると、さっそく緑川に電話をかけた。
琴美『もしもし?』
緑川『何、何の用?』
琴美『羽鳥先輩のことなんですが……』
緑川『へえ。意外ね』
琴美『何でもプレゼントする癖があるんです』
緑川『その癖をどうしろと?』
琴美『優しさがあっても、私はつらくなったんです』
緑川『もらってばかりで申し訳ない、という気持ち、でしょう』
琴美『それもあるにはあるんですが、なんかつらいんですよね』
緑川は羽鳥を注意することを決意した。お金の余裕があだに、が面白いところだと思った。
プルプルプル プルプルプル 携帯に電話をかけた。
緑川『羽鳥?もうプレゼントしないと聞いたけど、気をつけな』
羽鳥『分かりました。もうバレンタインのチョコもあげません』
緑川『自重したのね。以上』 緑川は電話を切った。 羽鳥は、電話を切られた後、プー、プー、という音を聴いていた。
緑川は勘に触った。プー、プーを聴いているのは何もないからだと思った。
羽鳥は、電話を切った。友達がいない、ふと思った。友達は琴美……いや……。
緑川はもう一度電話をかけた。……『羽鳥だよ』
緑川『友達、いないの?』
羽鳥『いないかも』
緑川『友達が欲しかった?』
羽鳥『そう。だから奢ろうとしてさ』
緑川『でも琴美は友達になれなかった』
羽鳥『なんでだろ』
緑川『何もないのよね、あなたには』
羽鳥『電話切るね。もう寝る』
羽鳥は切った。緑川もプーを聴く前に切った。 羽鳥は琴美の話さなくなった。
緑川は羽鳥に減点を課した。羽鳥は自己中心的な存在に思えた。
琴美は威勢がよかった。バスケ部の厳にテレパシーで話しかけて、緑川と関わるように、考えていた。
琴美【厳さん、私です、こ・と・み、です】
厳【ああ。おっぱい部の琴美か】
琴美【厳さん、緑川さんって知ってますよね?】
厳【知ってるよ。最強と謳われた】
琴美【知ってるんですね。どういう人だと思います?】
厳【はっきり言うと、好きだよ】
琴美【キャーーじゃあ今度恋愛したらどうです?】
厳【今、部活で忙しくてね。特訓合宿があるんだ】
緑川【厳、いきなりだけど、付き合ってくれ】
緑川【合宿明けにはいいだろうけども。嬉しいよ、緑川】 緑川【じゃあ、約束してくれ、いつか付き合うと】
厳【わかった。それでいい。いつか付き合おう】
****** ******
********** **********
************* *************
*****************************
*****************************
*****************************
***************************
***********************
*******************
***************
***********
*******
***
* *********** ***********
***************** *****************
********************* *********************
*********************** ***********************
************************ ************************
************************* *************************
**************************************************
************************************************
********************************************
****************************************
**********************************
******************************
************************
********************
**************
**********
******
** 緑川は喜んだ。琴美のおかげで付き合えた。琴美に感謝する想いが宿った。
緑川「琴美、今回の件は、ありがとう」
琴美「ど、どういたしまして」
緑川「厳と付き合うとなると、葵が心配だな」
琴美「葵先輩は、諦めがいいでしょうか」
緑川「どうかな。羨ましくなってほしくない」 すると葵が現れた。
葵「緑川。良かったね、私は引き下がるわ」
琴美「葵先輩!?本当に引き下がるんだったらいいんですが」
緑川「すまない葵。恋愛事になるとトラブルが付き物だ。
でも私はこれで済んだ。ありがとう、葵。」
葵は、私は厳をあきらめた、と言って帰って行った。
琴美「緑川先輩、葵さんの件、良かったですね」
緑川「諦めがいいでしょうかと言っていたが、そうかもしれないな」 琴美「ところで緑川先輩、私と試合しませんか?」
緑川「それは、私が勝つ」
琴美【準備してくださいね】
緑川は挑戦に応じることにした。
琴美は服を脱いだ。緑川もそうだった。
琴美「キャアー緑川先輩、巨乳だー」
緑川「貧乳だけど、吸盤が取れないなら、話は別」
紅葉が現れた。紅葉「試合、スタート!」
琴美「吸盤にくっついた乳首、取れないなら勝てるかもしれないんです」
緑川「強くなったなあ、琴美。私も吸盤にくっついているぞ」
琴美は取れる取れると、緑川の乳首を見て思った。
琴美「取れるのは緑川さんの乳首です!」
緑川「奇跡発動!琴美の吸盤が取れてしまう!」
琴美「何!?あれ、取れた?……」
琴美は負けた。奇跡は勉強していなかったらしい。 緑川「残念だけど、この勝負はもらった」緑川は冷静だった。
琴美「何で負けたんでしょうか。原因が大事です」
紅葉「同じ作戦の上、より実力を発揮したこと」
緑川「奇跡、起こしたから」
琴美「奇跡を出せるから強いんですよ!もう!」
紅葉「まあそうかっかすんな」
緑川「奇跡なんて、私くらいよ」
琴美「奇跡なんてもう嫌だ!」
紅葉「それじゃ毎回敗けるわ」
緑川「≪奇跡≫は琴美よくない、という意味」
琴美は奇跡の意味を懸念すると、意味が私がよくないというからではなく、
奇跡なんて嫌なんだもんと思っていた。 琴美は緑川との試合に負けて、大層悔しかった。どうすればよかったのか、思慮に耽った。
琴美は河川敷に向かった。自殺して終わる、そう誰かに嘯かれたかのように、水死しようと考えていた。
そこで葵が勘に触って、琴美の後ろを追いかけるように走っていた。
葵は琴美を遂に見つけた。「待て、まだ死んだらあかん!」葵は大声を出した。
琴美「もうゲーム終了ですう」
葵「試合で負けたからといって自殺していいわけじゃないだろ!」
琴美はどんどん河川敷の奥を進んでいく。そして川の中に入ってしまった。
葵は奇跡を起こそうと思った。瞬間移動だ。琴美を頭の中に侵入させればよい、そう思った。
葵は「マジック!琴美が私の頭の中に入る!」そう大きく言った。
琴美はその瞬間、空間から消え、葵の頭の中に入った。
葵「琴美。命、助かって良かった。すまないが私と共にいてくれ」
琴美「何でこんなところに。ここで自殺はできるんですが……」
葵「琴美、一緒にいよう」
琴美は冷静に考えた。葵の頭の中が、悪いわけではない、と。